土蜘蛛の巣

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zoom RSS そして糸は結ばれる

<<   作成日時 : 2009/10/20 22:14   >>

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 3か月ぶりの更新です。………宣伝しないと誰も見てくれないだろうなあと思いつつ、宣伝するのは恥ずかしいですね。SSですし
前々から言っていたネタの種がついに蒔かれました。と言っても琴音ちゃん(の背後さん)にしかわからない気がします(笑)
実を結んで収穫されるまではまだまだ時間がかかるとは思いますが、ちょこちょこやっていこうと思っています
前置きはこれくらいで。それでは平賀家に起こる大事件のSSをどうぞ
なお、稲田・琴音ちゃんの出演に関しては許可を頂き、公開前に確認等してもらいました。
PLさんに感謝いたします。


●縁のはじまり −双葉の糸−
 いつもの帰り道。学校を出て姉様の夕飯を買い、家に向かう道。私はそこを歩いていた。
自分で言うのもなんだけれど、私はあまり周りに興味はない。ぼおっとしていると言うと聞こえは悪いが、特に周りに気を払っているタイプではないのは確かだ。
だから、その音に私が気付いたのはそれこそ偶然………銀誓館の概念で言うならば運命の糸だったのだろう。
音はそろそろ山道に差し掛かり人気が無くなった道の奥から聞こえてくる。
気のせいで済ませて通り過ぎてしまいそうな音。
私がそれを気のせいで済まさなかったのは、音でなく声だと思ったから。とてもか細い「助けて」という声だと思ったから。

 声の方向へ向かった私が感じたのはまずは匂い。
「………血の、匂い?」
 足の動きが自然と速くなる。カードに手を伸ばし解放の準備。近づくに連れて濃くなる匂いと気配。
気配の主を視界に捉えた私は本来の自分になる言葉を口にする。
「イグニッション」
 気配の主は巨大な蜘蛛の姿をした決して蜘蛛ではないモノ。血と声の主は(おそらくは人間の)少女だ。
「……あ、たすけ……」
 少女は恐怖と苦痛に震えながら私に助けを求める。今自分を襲っているモノと私が同類だとは知らずに。
そのことを教えたらこの子はどんな顔をするのだろうと、ふと思う。
「もう大丈夫よ」
 人に仇なすモノを滅ぼし世界結界を守る。………それが私の使命。
私は敵へと近付き、赤手を振るった。

●縁のむかうさき −万葉の糸−
 いつもの時間。外に出ていた妹が、家に帰ってくる時間。そろそろだなと思いながら、わしはまどろみの中にいた。
自分で言うのもなんだが、わしはあまり妹に好かれてはいない。「そんなことありません!」という誰かの顔がよぎるが、少なくともそういう態度なのは確かだ。………それが本意かどうかは本人に聞かないとわからないがね。
だから、その声が聞こえたとき、わしは耳を疑った。
声は玄関から聞こえてくる。
聞き間違えるはずがない声、大切な妹の声。
わしが耳を疑ったのは、その声があまりにも悲痛な、自分を呼ぶ声だったから。

「おや、どうしたんだね?」
 驚いていてもいつもと同じ声が出せる。きっと表情もいつも通りの笑顔なのだろうね。
そんな姉に妹が語りかける。悲痛な、すがるような声で。血塗れの姿で。
「姉様、お願い………この、子が………死んでしまうから」
 何があったのかと問うより先に思うのは、予想が外れたということ。そしてまた、予想通りだということ。
何故なら、妹が自分に何かを願うことはきっとないと思っていたから。しかし、願うとしたら本人以外の何かの為にだと思っていたから。………だからわしは冷酷な言葉を吐く。
「それは自分の為かい?」
 崩れそうだった姿が、急に力を取り戻す。声は震えたままだけれど、さっきまでとはやはり違う。
「ええ、私の為に。………私は自分が殺したと思いたくないから、この子の生を望むの」
 顔に自然と笑みが浮かぶのが分かる。妹が今確実に己を傷つけるのを見て、嬉しいと思ってる。
ならば何があったかなど、意味はない。必要もない。その覚悟に応えるだけだ。妹の覚悟に応えるために、わしは本来の力を解き放つ。
「ならば良いよ。………力になろう、お前の為に。イグニッション」
 妹が抱く瀕死の蜘蛛童に手を伸ばし、繋がることを念じた。目に見えない何かが自分と蜘蛛童の間に結ばれる。
そして再び力を収めると蜘蛛童は姿を消した。
「………姉様?」
「大丈夫、面倒はわしがみるよ。わしなりのやり方で、だがね」
 そう言ってわしは妹の顔を見ずにいつもの場所へと戻る。………これくらいはサービスしてあげよう。

●そして糸は結ばれて。
「こんばんは、万葉せん……きゃ」
 いつものように主様のお部屋に入った私を待っていたのは、いつものように横になった主様………だけではありませんでした。巨大な蜘蛛の姿をした使役ゴースト、蜘蛛童。それが飛び掛かってきたのです。思わず悲鳴を上げた私を見て主様は笑います。
「やぁ、いらっしゃい。いきなり懐かれているね」
「え?あ、はい。……ええと、先輩のご一族ですか。光栄です」
 どうやら新しい家族が増えたみたいですね。この家に来た以上何が起きても、一度びっくりしたら後は大抵納得出来てしまいます。
撫でてやると擦り寄って来ます。ただ、イグニッションしていない身にこの歓迎は少し辛いです。そんな私の気持ちを感じ取ったのか、蜘蛛童は離れてくれました。
「……急にどうなさったんですか?」
 主様のことですから納得は出来ましたけど、気にはなるので聞いてみました。答えが返るも八卦返らぬも八卦、そんな心持ちです。
「ああ、急に気が向いてね。酔狂で連れてみることにしたのだよ」
 そう言った万葉先輩の笑顔は、理由なんてどうでも良くなるくらいに素敵でした。多分、聞かなくてもいい理由があるのでしょう。

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