平賀家の家屋は昔ながらの木造日本家屋である。 いつからあるのか、誰が作ったのか、そこいらも謎ではあるがその謎を解くことに意味はないだろう。 少なくとも、今から語られる小さな出来事とは関係ない。 ………関係あるのは平賀家が木造だろいうことくらい。 ある朝、双葉が姉の部屋の前を通ると、姉が天井を見上げているのが目に入った。 釣られて目線を天井にやるが、特に何があるわけでもない。 双葉は声をかけてみた。 「………姉様、何を見ているの?」 「天井だね」 「………天井の何を見ているの?」 「木目模様を見ているよ」 「………何でそんなものを見ているの?」 「木目模様が顔に見えて怖かったという話を思い出してね。うちにもないものかと」 「………良い暇つぶしになりそうね」 返事はない。 はぁ、とため息を一つ吐き、双葉は外へ向かおうとした。 「あ。」 理性は気にしたら負けだと告げる。 しかし、不幸なことに双葉は好奇心が旺盛な部類の生き物だった。 つい立ち止まってまた聞いてしまう。 「………何か見つかったの?」 問い掛けに応じて視線を下ろし、自分へと目を向けた姉の表情を見て双葉は後悔した。 姉は、何だかとても楽しそうだ。そして言う。 「あの辺りの模様が浅野の顔に見えないかい?」 それから。 自分の部屋へ来た時、ちらっと一瞬天井を気にする妹を見て、姉は大層楽しそうにしていると言う。 |
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